権利の窓
2022年03月28日 代表取締役の住所
本日は、登記記録に掲載される代表取締役の住所についてお話ししたいと思います。
代表取締役の住所というと、登記記録という誰でも入手可能な証明書類に住所が記載されることについて、登記をする際に時折、ご説明を要することがあります。
「どうしても登記は必要か。」、「登記に乗せたくない。」等のお話を頂きます。これは当然のことかと思います。
お客様によっては、本店と同じ場所に住所を移す、引っ越ししても旧住所のままとする方までいらっしゃいます。
中には、代表取締役の住所が登記されているので、不動産や投資に関する営業マンが自宅に待ち伏せしていたなどの話をいただき、いやな思いをしたというお話を頂きました。
制度上も代表取締役の住所は登記から外してはという疑問もあってか、会社法改正の度に、代表取締役の住所は登記から外してはどうか、議論に上がるようですが、これまで現行法が変わることはありませんでした。
それともうしますのも、法務省曰く「代表取締役の住所は訴訟手続上、普通裁判籍の決定及び送達の場面において重要な役割を果たしていることに典型的に表れているように、代表取締役の住所を登記事項から削除することは、訴訟手続きだけでなく、実際の取引に多大な影響を与える可能性が否定できないといった問題があることから、相当でない」とのことです。
ただし、商業登記規則等の一部を改正する省令案が現在議論されており、省令案が通りますと、令和4年9月1日より、ストーカー行為等の規制等に関する法律に該当する方が申出をすることで、登記記録に係る登記事項証明書又は登記事項要約書に、当該住所を記載しない措置を講ずることができるようになるようです。
個人情報保護の観点から否定的な考え方の多い条文でありましたが、一歩前進と言ったところでしょうか。