権利の窓
2022年01月26日 2021年 新規上場社数
2021年は「東京2020オリンピック」が開催され節目の年で
あったせいか、東京証券取引所への新規上場企業数は昨年を大きく
上回り、100社を超えました。
業種の種類も多くは情報・通信業、サービス業となります。200
8年のリーマンショック以前は、上場ブーム等と言われ、100社
以上の新規上場が数年続きましたが、ようやく100社を超えるま
で戻ってまいりました。
弊所でお手伝いさせていただいた会社様が6社ほどございまして、
良き機会に恵まれた1年となりました。
このような貴重な経験をさせて頂き誠にありがとうございます。
この一方で、ニトリホールディングスが島忠、三井不動産が東京
ドーム、ヤマダホールディングスが大塚家具と、大型買収が相次
ぎ、このような子会社化をはじめ組織再編などを原因として、
上場を取り消された会社は86社になるそうです。
さて、東京証券取引所は2022年4月よりこれまでの市場第一
部、市場第二部、マザーズ及びJASDAQ(スタンダード・グロー
ス)という4つの市場区分を改めてプライム市場・スタンダード
市場・グロース市場という3つの市場区分に変更されます。
これにより、これまでマザーズへの株式上場を目指していた会社
はこれからはグロース市場(高い成長可能性を実現するための
事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場
評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが
高い企業向けの市場)への上場を目指すことになるようです。
それではなぜ、市場区分の変更に踏み切るのかといいますと、
東証のホームページを見ますと次のような課題があったそう
です。
1 各市場区分のコンセプトが曖昧であり、多くの投資者にと
っての利便性が低い。具体的には、市場第二部、マザーズ、
JASDAQの位置づけが重複しているほか、市場第一部につ
いてもそのコンセプトが不明確。
2 上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが十分にでき
ていない。
例えば、新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低い
ことから、上場後も新規上場時の水準を維持する動機付
けにならない。
また、市場第一部に他の市場区分から移る際の基準が、
市場第一部への新規上場基準よりも緩和されているた
め、上場後に積極的な企業価値向上を促す仕組みとな
っていない。
上記課題からしますと、各市場区分のコンセプトが明確に
なったため、上場したからとて、さらなる企業価値の向上に
努めませんと、今後は上場基準を満たせず、上場を廃止して
いく会社が増えるやもしれませんが、市場区分の変更により
すばらしい会社が次々と誕生するのを期待したいですね。
当事務所でも東京証券取引所が定める「コーポレートガバナ
ンス・コード」の改定があったため、こちらの影響を受けた
問い合わせを受けたり、拝見させて頂く書類の中でもこの
影響と見て取れる記載を拝見いたしました。
弊所といたしましては、株式の上場を目指される会社は
今後も増え続けるかと思います。
法改正だけでなくソフトローというのでしょうか、コーポ
レートガバナンス・コード等にも目を向け、日々の研鑽を
怠ることなく積み重ね、会社のご意向に引き続き添えられ
るよう2022年もサービスの向上に努めてまいります。