権利の窓
2005年12月13日 民法入門4 「がんばれ補助者内藤君 其の二」
権利の主体(1)自然人 成年被後見人 ―民法入門4―
「がんばれ補助者内藤君 其の二」
前回同様、新米補助者内藤君は今日も岩間先生に付いて外回り、書類作りに励む毎日である。そんなある日の午後、馴染みのクライアント㈱関不動産(以後Sとする)から見積もり依頼の電話がかかってきた。
S 「先生、見積もり作成お願いします~。すぐ謄本・売契・評価証明送りますさかいに」
内藤君 「いつもありがとうございます。」
S 「今回売主のAさん(95歳)が離れて住む息子夫婦と同居するにあたり、軽井沢の別荘を売却することにしたのですが、この方数年前から脳梗塞で倒れて意識がもうろうとしているって聞いているのですが。」
内藤君 「そうですか~。その方は意思確認できる状態なんでしょうか?詳しく教えてください。またうちの岩間にも報告しておきます。」
なんとなく内藤君はいやな予感がして早速その内容を岩間先生に報告した。
岩間 「それはタイヘン!!売主の意思確認は司法書士の最優先確認事項だからなぁ。また私のほうからも電話いれとくよ。」
「ところで内藤君?これに関連して、成年被後見人の部分の質問でも今日はしてみようかな??」 (ニヤッ(笑))
内藤君 「え??」(やばい)
岩間 「成年後見の制度っていうのは精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により判断能力が欠けてる方を保護・支援してあげようとしている制度だったよね。だから成年被後見人(成年後見の審判を受けた人の事)がした法律行為っての効力はどうなると思う??」
内藤君 「成年後見人及び成年被後見人は常に取り消すことができます。でも日用品の購入とか電気・ガス・水道料金支払など日常生活に関する行為は取消対象外です。」
岩間 「ほぅ~よくわかってるねぇ。じゃあ、成年後見人が結婚とか離婚も勝手にしたら取り消されることになると思う??」
内藤君 「いいえ。結婚とか離婚は財産法上の行為ではないので本心に復していれば成年後見人単独で有効にすることができると思います。」
岩間 「うっほっほ。勉強すすんでるね(@―@)来年の本試験の結果が楽しみなんじゃないかぁ」
内藤君 「もう余裕感じちゃってますよ~(><)任せておくんなはれ!!」
岩間 「では最後に一問。成年後見人Bさんが成年被後見人のAさんの自宅を代理して売却するのは有効かな??」
内藤君 「有効に決まってるじゃないですかぁ~。ちゃんと財産行為を代理してるんですから」
(余裕ぶってる)
岩間 「ぶっぶーーーーーーーー!!成年後見人が成年被後見人の<居住用不動産>を売買等する時は家庭裁判所の許可を得なければ効力が生じないんだよ。(民法859条の3)但し、別荘のように現に居住していない不動産だったらOKよ。」
内藤君 「・・・知らなかったデス。」(++)
・・・がんばれ内藤君!負けるな内藤君!
(作成者 池内 宏征)