権利の窓
2005年11月29日 民法入門3 「がんばれ補助者内藤君 其の一」
権利の主体(1)自然人 未成年者 ―民法入門3―
「がんばれ補助者内藤君 其の一」
内藤君は、司法書士事務所に勤めて3ヶ月になる新米補助者である。今日も外回り、書類作成と大忙しの毎日を送っている。そんな時、岩間先生に内藤君が未成年者について質問している。
内藤 「先生、未成年者は親の同意があれば土地を買ったり売ったりすることができるんですよね。結婚している未成年者も親の同意がいるんですか?」
先生「未成年者が結婚すれば、民法753条で成年に達した者とみなす規定(成年擬制という)があるんだよ。だから親の同意は不要となるよ。」
内藤「へ~そうなんだ。もし離婚したらどうなんですか?」
先生「その場合は、成年擬制の成果は変わらないんだよ。法律関係が複雑化するからね。それじゃ今度はこっちが聞くぞ。」
内藤「はい。」(あまりこの分野は勉強していないんだよな。やばいかも。)
先生「じゃあ。未成年者は原則として単独で法律行為をすることができないけど、未成年者が単独ですることができる財産行為は何があるかな?」
内藤「はい。まず未成年者が権利を得たり義務を免れる行為です。この場合、未成年者の利益を害しないので単独ですることができます。」
先生「具体的にはどんなものがあるかな?」
内藤「例えば、負担のない贈与を受けるとか、借金の利子を下げてもらうなどあります。」
先生「よく勉強しているね。他には何があるかな?」
内藤「親権者より処分を許された財産の処分です。包括的な同意があると認められます。」
先生「具体的にどんなものがあるかな?」
内藤「例えば、下宿代、学費、小遺銭などです。」
先生「うん。やればできるじゃないか。どうして毎年、司法書士資格試験に受からないんだ?」
内藤「ぷーーーーー(怒)。今年は、体調を崩してベストコンディションで受けれなかったんですよ。」
先生「そうか。去年も同じことを言っていたぞ。来年の合格は期待しているよ。まあ、それは置いといて未成年者が親の同意を得ないでした行為は、どうなるのかな?」
内藤「ん~~~~。(どうだったかな)。先生、教えてください。」
先生「よし。教えてやろう。未成年者が親の同意なしにした行為は『取り消すことのできる行為』として、未成年者のした意思表示から生ずる法的拘束力から解放してあげる制度があるんだ。これを制限能力者制度と言って、つまり自由競争の場における弱者を保護するための制度なんだ。制度趣旨からよく覚えておくように!!」
内藤「さすが、先生ですね。」(よいしょしとこ)
先生「ところで内藤君、明日の決済の書類はもうできてるんだろうね?」
内藤「あっ いけね。まだやってないや。」
先生「こらーーーーーーーーーーー(怒)サボってないで先に仕事しろーー」
今日も岩間先生の怒号が飛び交う元気な事務所である。
がんばれ内藤君、負けるな内藤君。
(作成者 藤川 和弘)